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【5】クロレラの成分、製造

【5-1 クロレラの成分】
クロレラは水中で生きているときは、植物細胞注1)と同様に水分を90%程度含んでいます。これを乾燥して、粒状にしたのが一般的な製品です。
生きているクロレラ細胞は、生命に必要な栄養成分や特殊な成分を全て含んでいます。これを乾燥した製品は、したがって生命に必要な成分が濃縮された食品であるということができます。
クロレラは、微小で単一細胞でありながら、一つの生命体です。従って、その一つのクロレラ細胞の中には生命体を維持するのに必要な栄養素を沢山含んでいます(一物全体食)。
一物全体食(いちぶつぜんたいしょく)とは、ひとつの食べ物の全体を食べるということです。野菜は根も葉も実も食べる、魚は頭から尻尾まで残さず食べる。肉は骨もスープにして飲みます。“食物の栄養素は全体にある”ということで、一部分だけ食べるのでは栄養が偏ります。たとえば穀物の皮や胚、野菜の皮には、それ以外の部分にはない、ビタミンやミネラルが沢山含まれています。また食物繊維も豊富なので、腸の健康にも役立ちます。食べ物は全体を食べてこそ、私たちの為になるように働いてくれるのではないでしょうか。根も葉も無駄にしないようにしたいものですね。
クロレラは、他の植物の数十倍という光合成能力で増殖します。そしてクロレラは、天然の状態で各種ビタミン、ミネラルをバランスよく豊富に含んでいます。
もう少し詳しくクロレラについて述べてみますと、クロレラには蛋白質、各種ビタミン、葉緑素、カルシウム、食物繊維、などの栄養素が豊富に含まれています。特に蛋白質には、体内で作ることができず、しかも栄養学上もっとも大切な8つの必須アミノ酸注2)がバランスよく含まれています。なかでも生物の成長に欠かせないリジンが非常に多く含まれているのが特徴です。クロレラはカリウムやマグネシウムなどを含むアルカリ性食品で、酸性体質を病気にかかりにくい弱アルカリ性体質へと導きます。
ちなみに、あの鮮やかな緑色は、葉緑素(クロロフィル)注3)の色です。

<クロレラと小麦の必須アミノ酸量の比較>

必須アミノ酸名 基準 小麦 クロレラ
イソロイシン 270 262 305
ロイシン 306 442 473
リジン 270 126 387
フェニルアラニン 180 322 304
含流アミノ酸計 270 192 127
スレオニン 180 174 258
トリプトファン 90 69 91
バリン 270 262 336

クロレラの成分を、チクゴ株クロレラ(バイオリンク)の成分で見ますと、アミノ酸(18種)、ビタミン(16種)、ミネラル(14種)、食物繊維(4種)、必須脂肪酸(2種)、葉緑素(2種)、クロレラエキスなど、69の成分が天然の形でバランスよく含まれています。
以上のような豊富な成分のため、クロレラは、「天然総合サプリメント」と、いわれるわけです。

語句の説明
注1)植物細胞
細胞には植物細胞と動物細胞とがあります。2つに共通するもののほうが多いですが、互いに異なるところもあります。植物細胞は、細胞膜の外側をかたい殻のような細胞壁にかこまれ、細胞内には大きな液胞と葉緑体をもっていることなどが動物細胞と違っています。
注2)アミノ酸
タンパク質をつくっている有機化合物の総称です。人体に入った食べ物はアミノ酸に分解されて吸収されます。アミノ酸にはさまざまな種類がありますが、そのうちタンパク質をつくるのにつかわれるのは20種類です。
生命活動のほとんどは、アミノ酸によってなされています。人間の健康や成長のために必要な栄養としてたいせつなもので、なかでもバリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、スレオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンの9種は、必須アミノ酸とよばれています。おとなの場合は、ヒスチジンをのぞく8種です。3)葉緑素
植物や藍藻などの光合成をおこなう生物がもつ緑色色素のことです。クロロフィルともいわれます。普通は葉緑体の中にカロチノイドなどとともにふくまれます。

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【5-2 クロレラの製造】
クロレラの生産方法は、「オープン培養」と、「タンク培養」の2通りがあります。
オープン培養では、屋外のプールを利用して、生産培養注1)を行うため、理にかなっていることから、内容成分などにすぐれたものができる利点があります。しかし、天候によって生産が左右されるというマイナス面があります。
一方、タンク培養は人工的なイメージが強く、また品質の低下を招きやすい、などの欠点があります。しかし、天候に左右されず計画生産が可能であること、また、密閉タンクであるので異物などの混入に注意を払わなくてもよいこと、などの利点があります。
このホームページでは、バイオリンクで行われているオープン培養について、また、種母株として、クロレラ・ブルガリス・チクゴ株を中心に解説します。特に、クロレラの良し悪しは、この種母株によってほぼ決まるといっても過言ではありません。
【1】坂口フラスコ培養
独特の種株<クロレラ・ブルガリス・チクゴ株>(以下チクゴ株)を種母として安定的に維持・供給するための予備培養の第1段階です。坂口フラスコ注2)の液体培地中にチクゴ株を移し、機械的に絶えず揺り動かしながら培養します。
【2】小型ジャーファーメンター培養
予備培養の第2段階で、チクゴ株を小型ジャーファーメンターに移して培養します。いきのいいフレッシュな状態を維持しながら、大型ジャーファーメンターでの種母培養に備えます。
【3】種母培養
大型ジャーファーメンターで温度やpHをコントロールして培養し、屋外生産培養にふさわしい高品位の種母を絶えず供給します。
【4】屋外生産培養
大型ジャーファーメンターで育成した種母に太陽光をたっぷり吸収させて細胞内容を充実させるために、屋外の生産プールに移し、15cm以下の浅い液深で培養します。細胞活性が最も高い状態の時期に収穫し、製品化工程へ。
【5】水洗・濃縮
培養液を遠心分離器注3)にかけ、クロレラ細胞の水洗を繰り返した後、脱水。濃い懸濁液にします。
【6】加熱処理
クロレラ懸濁液をプレートヒーターに通して、加熱滅菌処理を行います。
【7】乾燥
クロレラをスプレードライヤーで瞬間噴霧乾燥し、サラサラの微粒子状のクロレラ粉末にします。
【8】品質検査・製品化・出荷
製品化に至るまでのHACCP(ハセップ)方式注4)に基づく工程管理に加えて、品質管理室による厳格な自社基準の最終検査をクリアーしたものだけが製品となり出荷されます。

語句の説明
注1)培養
生物から細胞や組織、器官などをとりだし、人工的な環境で発生させたり、ふやしたりすることです。また、微生物や植物、動物を、栄養や温度などの条件を制御しながら人工的に育て続けることも培養とよばれます。
注2)フラスコ
化学反応、蒸留、細菌培養などに使う実験用の容器です。細長い円筒状の首とふくらみのある胴体をもち、材質はガラスが一般的です。
注3)遠心分離機
回転による遠心力を利用して、液体中にまざっている固体粒子や比重のちがう液体を分離する装置です。
目的により、遠心ろ過機と遠心沈降機の2種類が使われます。基本的にはどちらも家庭用の電気洗濯機の脱水機と同じような構造を持っています。
注4)HACCP(ハセップ)方式
Hazard Analysis Critical Control Point System(食品の危害分析・重要管理点方式)の略です。
この方式は、米国航空宇宙局(NASA)が宇宙食製造のために開発した衛生管理方式です。
すなわち、食品加工の工程中で健康危害を与える可能性のある重要な要因を予測分析し、科学的根拠に基づいて、管理方法を定め、また管理内容を記録することで安全性を確保するシステムです。

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