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【4】クロレラの形状、種類

【4-1 クロレラの形状】
クロレラは熱滞から寒帯までひろく地球上に分布していて、湖、池、沼などから採取することができます。
クロレラの表面は、その一生を通じてべん毛やせん毛を持つ段階がなく、無性生殖のみ注1)で一生を終わります。形態は球状または楕円形で、大きさは「種」や発育の段階によって異なっていますが、2~10ミクロンで、人間の赤血球よりもわずかに小さい個体なのですもちろん電子顕微鏡でなければクロレラの全貌を見ることができません。
クロレラは、1つの細胞で1つの生命体を形作っており、食養でいう「一物全体食(いちぶつぜんたいしょく)」注2)にあたります。すなわち、クロレラには食物の葉(ほうれん草)、花(ブロッコリー)、実(かぼちゃ)、茎(グリーンアスパラガス)、根(にんじん)を一緒に食べ合わせたときと同じ栄養的バランスがあります。
1つの食品で、これほど栄養素を含んだものは、他にありません。ちなみに、クロレラの植物学的分類は、
緑色植物門(Chlorohyta)
・緑藻網(Chlorohyceae)
・クロロコックム目(Chlorococcales)
・オオシスティス科(Oocystaceae)
・クロレラ属(Chlorella)です。
植物の光合成注3)の効率は、一般の陸上植物で0.1~0.5%、多くとも4~5%に過ぎません。しかし、クロレラでは葉緑体が大きいために、10~20%の効率で光エネルギーを利用しています。
クロレラの分裂方式は、人間をはじめとして動・植物の細胞が2分裂しながら増加していくのに対して、クロレラは、1回に4分裂していきます。すなわち、クロレラは繁殖速度が大変速く、24時間で2回核分裂をし、4倍に増殖します。クロレラの光合成能力は、他の植物の数十倍もあります。

語句の説明
注1)無性生殖
親のからだの一部が分かれておこなわれる生殖をいいます。有性生殖に対比して使われる言葉です。
親とまったく同じ遺伝情報をもつ新しい個体がつくられるのが特徴で、無性生殖には、細胞の分裂や胞子による生殖など、細胞単位でおこなわれる無配偶子生殖と、多細胞の生殖体による栄養生殖があります。
注2)一物全体食(一物全食ともいう)
中国、日本には昔から、バランスのとれた食生活で生命を養う「食養」の思想がありますので「四字熟語」で覚えておくといいでしょう。
①医食同源(いしょくどうげん)→本来、薬食同源といい、薬と食べ物は一体という考え方です。
②五味五色(ごみごしょく)→ 「酸・苦・甘・辛・鹹(かん=塩)の5つの味と青・赤・黄・白・黒の5つの色でバランスよく食べること。
③身土不二(しんどふじ)→ その土地のものを食べること。
④一物全食(いちぶつぜんしょく)→ 丸ごと食べること。
注3)光合成(こうごうせい)
葉緑素をもつ植物や細菌が、太陽の光のエネルギーを使って、水と二酸化炭素から糖類などの有機化合物を合成することです。その過程で、酸素が放出されます。
植物の体内にある葉緑体の中で、これらのすべての作用がおこなわれ、また、光合成でつくられる有機物の量は、光の強さや二酸化炭素の濃度、温度などによって変化します。

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【4-2 クロレラの種類】
クロレラは、植物の戸籍でいえば、「緑藻網・クロロコックム目・オオシスティス科・クロレラ属」と言うことになっています。
一般にいう「クロレラ」は、「属(genus)」の名注1)なのです。「属」の中は、さらに約20種類の「種(species)」が発見されています。その中で、例えば、次のような「種」が知られています
・クロレラ・ブルガリス種、
・クロレラ・ピレノイドサ種、
・クロレラ・エリプソイディア種、
・クロレラ・ミニアータ種
などです。
これらの「種」の違いは、錠剤などになってしまいますと、ほとんど判りませんが、それぞれに特長を有しています。
なお、日本のオープン培養で生産されるクロレラが主に、「ブルガリス種」であるのに対し、台湾で生産されるクロレラのほとんどは、「ピレノイドサ種」です。
さらに、「種」の中でも、いろいろな「株」があり、「株」の違いによりクロレラの良否は大きく変わってきます。専門的には、「株」といわれますが、一般的には、「品種」、あるいは「銘柄」といった方がわかりやすいでしょう。
例えば、私たち日本人が主食にしているお米にも、いろいろな銘柄があります。銘柄が異なれば当然「味」も異なります。この銘柄に当たるのがクロレラでは、「品種」です。そしてクロレラでは、お米と同じように、「品種(銘柄)」の違いによって、いろいろ異なってくるのです。すなわち、内容成分はもちろん保健効果等が異なってきます。
クロレラの中で、「よい品種」として定評のあるのが、「クロレラ・ブルガリス・チクゴ株」です。このクロレラは、消化性がよく、保健効果の高いことが多くの研究論文で紹介されています。

語句の説明
注1)属(ぞく、Genus)
生物を分類する階級のひとつです。そのなかでも構造や進化のうえで起源が密接に関係する種同士の集まりをさします。 科または亜科の下、種の上に位置します。
なお、植物分類学の研究では、植物の種類をはっきりさせ、属、科などに区分します。一方、細胞学では細胞の構造、核、染色体などを、形態学では器官の種別や変態などを研究します。そして、生理学では植物の体内における物質代謝、呼吸、運動、成長などを、生態学では植物と環境との関係をそれぞれ研究します。

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